着物の用語-大島紬/おおしまつむぎ

大島紬は紬の種類の一つで紬糸を機織りの緯線・経線の片方若しくは両方に用いて織った布、
若しくは縫製した和服を言います。

大島紬は古来、天の川で染められました。
伝説では昔、赤尾木の地に天から白馬が降り立ち美しい湖ができ、ここから湧き出る水が、絹糸を美しい色に染めたと言い伝えられます。天の川から(天馬)彗星が降下し、土となり、泥染めの染料として、大島紬のやわらかくしっとりとした風合を作り出す独特の染色技法を生みました。
天智天皇(西暦661年)の頃から、梅染め、桃染めなどが行われてきたということです。
1720年、鹿児島藩の指示により島役人以外の紬着用を禁じられ(「口上覚」松岡家文書)、
黒砂糖とともに藩の重要な財源でした。
「南島雑話」には、「織立はつやなけれども、程久しくつや出て至つてよく、縞がらも色々あり」
と記録されています。
19世紀頃からは、絣の技術を取入れ、大島が紬と言えるのは明治初年くらいまでであり、
現在では撚糸を使い紬とは言えなくなっています。名称を付けるなら「大島絣」です。
それまでの大島製作法は、現在の結城紬とまったく同じものであり、
ただ製糸するときに使うのりが結城では米糊、大島では海苔(ふのり)の違いのみとあります。


先染めにより独特の柄いきが特徴です。
ジュヌジ・ツガ・チトコ・トネ(飼料桶)・トンボ・イガタ・カメンコ(亀甲)・イュンム(魚の目)・カゼモシャ(風車)・ソテツバ(ソテツの葉)を原型に、
本西郷・中有馬・亀甲・喜瀬飛び・白雲・米の字絣・ツガ十の字・割込式・赤尾木西郷・用椿・ツガアミ・十の字(十字絣・力絣)・ツカコモリ・風廻し・日米・秋名バラ
などがあります。

染色
元々ティーチギ(シャリンバイ)の樹皮の煮出し汁により色を染め、鉄分の多い泥土につけて発色させます(泥染)。
現在は白大島・色大島・泥染大島・泥藍大島・正藍大島などがあります。

大島紬の工程は、大きく分けて30数工程あり、図案に始まり織り上がるまで半年近くかかり、1つ1つの工程が、非常に複雑で高度な熟練した技術が要求されます。 長い歴史のなかで商品や技術開発がすすみ、その結果、緻密な絣模様や、軽くて、暖かく、しなやかで、着くずれしないなど特徴が生まれました。

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