6月の中国 絹事情

5月6日
浙江省嘉興市で中国のシルク業界の年一度の全国懇談会が下記の通り開催されました。
・全国シルク協会会長の楊永元氏の講演
・中国紡績工業連合会情報部長の劉処長の中国紡績業の全体情勢の報告
・嘉興生糸繭取引所総経理が「新常態下の2015」の報告と今年の生糸相場の傾向発表
・嘉興埃迪尓(IDEA)シルク有限公司のミアイリ総経理の講演(下記)

 タイトル:市場の研究・悲観・楽観と現実

  1. 昨年のヨーロッパのブランド生産者協会の最初の調査報告書より 世界中のブランド商品の需要について今後10年でアジア、アフリカの市場は富裕層者の増加で倍増する予想を、 一部のブランド企業がこれを信じ、シルク原料の不足と、中国からの輸入前傾が心配され 欧州視察団を日本、インド、中国へ派遣し、ヨーロッパでの養蚕業の促進する案をしばらくの間中止。 その後、中国政府が事業団の準備糸を放出することを決定したが、これはヨーロッパの思いとは逆になる。 ただし市場の低迷は複雑で多くの経済要因・地域要因によっているので気を抜かず、しかし楽観的に対応するべき。
  2. 生糸の品質について、国検定検査は工場の検査のみで輸入業者は受けていない。
    国内なら企業間で解決するが、現実はCIQ検定でも品質保証が出来ない。
    中国シルク協会とヨーロッパ協会の代表機関Centroがこの問題に当たり連携協議している。
    この問題には法律に頼るだけでは無理で、研究・創造による多くの手段が必要になる。
  3. 中国の輸出商品の免税について、これまで中国のカシミヤ輸出は16ミクロン以下の繊維を全てカシミヤとして輸出していたが、
    日本とヨーロッパで検査したところ50%以上がウールの成分ということが判明、その結果、市場価格が崩れた。
    その時、カシミヤが免税になったがイタリアの厳しい工程と品質管理で品質が回復した。
    イタリアのCARRIAGGIが世界基準。
    嘉興埃迪尓(IDEA)シルク有限公司が新紡績技術を開発しシルクとカシミヤ混紡糸を生産している。
    その技術は伝統的で、抗起毛パイル性能が高い方法だ。
    中国増値税還付について中国の生糸を5%減らすとベトナム・ルーマニアの撚糸加工は1部が中国へ転換する可能性がある。
    それらの国ではシルクの成功は技術の進歩というより正確な管理・市場の知識で運用しており金融、物流、貨物などノウハウは続くだろう。
  4. 十分な技術を維持すれば増値税還付を受け中国シルクの安定発展に繋がるだろう。中国は品質が事業成功の基であるので品質をさらに重視して欲しい。広西省での養蚕の発展を検証したが過去15年の発展スピードに驚いている。
    全体でも養蚕は発展していると思う。

5月6日より中国シルク真綿先物取引は初めて嘉興生糸繭取引所で始まり、
条件は60キロ単位、最低数量300キロでの取引となっています。

5月28日から、浙江省の嘉興、桐郷などで、春繭の買取りが始まりました。
50キロ当たり1700元の価格で、去年より若干高く農家より買い取っています。
生糸換算で、コストはトン当たり36万元(約56から57ドル)の推定です。

5月28日、中国紡績協会からの発表で、
2015年1月から4月のシルク輸出実績は
蚕糸類4,084.8トンで、去年より0.97%の減で、
国別では1位インド 30.33%、 2位イタリア 11.55%、 3位 日本10.87%、 4位 パキスタン 8.92%、 5位 ベトナム8.2%。

5月の生糸相場は4月と大きな違いはないです。
4月の生糸相場

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